22 2月 2010
突然だが、時代は新しいメディアを渇望していると思う。その背景にあるのは勿論、昨今騒がれているウェブ(あるいはネット)の「リアルタイム化」現象がある。GoogleはLatest(日本語では最新)検索を始め、TwitterのようなインターフェースのBuzを始めた。また、まだ日本では始まっていないようだが、Social検索というのも強力なツールだ。これはGmailやTwitterのコンタクトやGoogle Profileからのリンク、そしてその一段階先のつながりまでを社交グループと仮定し、その中での検索結果などを自身の検索結果に反映させるものである。
筆者はこれから「膨張したウェブが縮小」する現象が起こるとみているが、それはネットの世界そのものが小さくなるということではなく、自身に関係する部分の情報が厳選、あるいはフィルタリングされていくことで小さくなってくるということである。その中で大事な要素として “ピア”の存在があるとみている。(これは例えば検索結果の精度を上げるために、不特定多数の意見よりも自身の周りにいる人物(つまりピア)の意見をより評価するもので、リアルの世界ではもちろん誰しもが行っていることである。一時は隆盛を極めたP2Pファイル交換ツールも、いつの間にやら特定の人物同士がクローズドな環境でファイルを共有しあうようになったのだが、これはとにもかくにもこのほうが安全でかつ効率的だからである)このピアはいわばまっとうな「ギブアンドテイク」が成り立つ者たち同士の本当にクローズドなグループなので、部外者が中に入るのは難しい。一般的には誰かの紹介か、貢物(ファイル交換の場合は上質のコンテンツなど)ややり取りの姿勢などを通してグループのメンバーに自身の価値を認めてもらうしかない。これはまさに現実そのものである。
ではメディアの世界はどうか。これまではポータルとして揺るがぬ地位を築いてきたYahoo!やMSNなどのポータルサイトも最近躍起になってリアルタイム化したツールやアプリを提供しながら顧客の確保に努めているようだ。それも当然で、これまでは雑誌や新聞などの紙媒体のメディアがスピードに追いついてこれないということで、ネット上のマスメディアとして君臨してきた彼らも自身のスタイルが、すでにこのリアルタイム化の波に乗り遅れかけていることに気づいているからだ。これらのポータルサイトに対抗するニュースメディアポータルとしての本命がDiggなどに代表されるSocial Newsサイトであった。しかし、やはり匿名あるいは非実名のポストが大半の状態で、かつその記事を書くものもプロに限らないとすれば、必然情報の品質は下がってくる。ここで厄介なのが、それがポータルであろうがソーシャルメディアサイトであろうが、ほとんどのサイトは利益主導で運営されている、つまりアクセス数を稼いで広告売上を増やしたいというのが一番のモチベーションであるということである。
ニュースを閲覧に来るビジターの数 = サイトの価値 = 広告媒体としての価値
といった構図が成り立つのはもはや多くの方が理解していると思うが、要はユーザが記事目当てにやってくるのを利用して、サイト自身が広告媒体としての価値を高めている、そういうことだ。そこで、改めて着目したいのがここでいうユーザには利益が落ちる仕組みにはなっていないということだ。儲けるのは常にそれを運営している会社になる。上場益が出たとしても、ほとんどの場合はそれは創業者が手に入れる仕組みになっている。今年のフォーブスの長者番付に出た二人の30代のビリオネヤーは共に日本最大のSNSの創業者だ。 (2に続く)
21 2月 2010
しばらく沈黙を守ってきたアマゾンのプレスリリースだが、ここにきて2つの新しいニュースが追加された。
アマゾンは2月19日に新たにキンドルストアのコンテンツに3つの言語を追加することを発表した。
今回追加されたのは下記の3言語。いずれもラテン系の言語である。
スペイン語
イタリア語
ポルトガル語
これまで英語・ドイツ語・フランス語が対応言語とされてきたので、上記を入れて計6つの言語が対応となった。
アマゾンはこれですでに北米と主要なEU諸国、そして南米をカバーしたことになる。
具体的な話し手人口がどれくらいになるかと思い少しネットで調べてみたが、話し手人口に関するセンサスは意外に更新されていないのか、最近のものがみつからなかった。
WIP Japanの「世界の主要20言語使用人口」表の公用語区別によると
英語 (1,400) 1位
スペイン語 (280) 4位
フランス語 (220) 6位
ポルトガル語 (160) 8位
ドイツ語 (100) 12位
イタリア語 (60) 14位
*( )は100万人
となり、計22億2000万人がカバーされたことになる。これはかなり大きな数である。勿論各言語を公用語としない国にもこれらの言語の書物を購入する人々はいるだろうから、実質的な潜在読者層はすでに地球の人口の半分を超えていると思われる。
アマゾンはオンライン販売のデータを地理情報などで緻密に解析したマーケティングデータを、ビジネスにつなげる専門家であり、その手法が彼らを世界一のEコマースサイトの基盤になったことはよく知られた事実であるが、上記の言語戦略は非常に効率のいいものだと言える。筆者はこれまで度々アマゾンがアメリカから東回りに言語を拡大するであろうという予測を述べてきているが、まさにこの通りの展開になっている。南北アメリカとEU主要諸国、そして植民地としての歴史が長かったアフリカもカバーしてしまった。
さて、では注目のこの次の動きはどうなるのだろうか? 続きを読む
20 2月 2010
というアナウンスメントが追加三言語対応の告知の前日にあたる2月18日にあった。
これにより、プラットフォームもどんどん増加、と勢いこんで記事にするほど筆者はブラックベリーのポテンシャルを見込んでいない(苦笑)のだが、これによりキンドルはキンドル端末以外に、iPhone/iPod、PC、Blackberryと対応可能になった。米国のモバイル端末市場ではスマートフォンが隆盛を極めているが、その大半はiPhoneとブラックベリーの牽引によるものでWindows Mobileはどんどんそのシェアを落としている。
プラットフォームという点ではいわゆる普通の携帯電話以外はこれでほとんど対応したことになる。が、興味深いことにKindle for Mac はまだリリースされていない。
18 2月 2010
先日とあることがきっかけで、日本とアメリカのキンドルコンテンツの価格の比較をしてみたら、興味深い事実に気づいた。
上記はLMDPが販売しているコンテンツの一つであるが、アメリカでの販売価格は$0.99、つまり99セントだ。
画像は日本で友人が試験購入してくれた際に映してもらったもので、よく見ると金額は$2.99となっていて約3倍になっている。ところがこのコンテンツが日本で売れたとしても、入ってくる印税は変わらない。つまり$0.99の35%が規定レートで実勢として35セント。規定では売価の35%になるのだから、日本で売れた分に対しては3倍になっているはずなのだが、そうはなっていないようだ。これは確定できない理由があるのだが、それは出版社側からは売上がどの地域からあげられたものかどうかが分からないという点である。しかし、今回は日本にいる友人二人が購入をしてくれて、こちら側で売上に関する情報をチェックしていたが売上金額 (TOTAL PAYMENT)を販売数量 (NET UNITS SOLD)で割ってみるとやはり35セントになっている。
ではこの差分はどこにいったのか?
通信費の問題などがあるのは分かるのだが、それでもパブリッシャー側に十分な説明がされているとは思えない。
また契約改訂後は通信費を除いた正味売上金額に対する70%適用(ルールを満たしたもののみ、それ以外は現行と同じ)となっているが、それでこの問題が解決されるとは思えない。 続きを読む
8 2月 2010
出張準備をしながらも、ついつい立ち上げたばかりのideaspringの管理作業などをしてしまう。。。
今回驚かされたのが Ning の言語ローカライズのシステムのすごさである。便利だし、かなりフレキシブルで、これは本当に驚きだ。
Facebook でもユーザーが翻訳するエンジンを取り入れていたし、グーグル翻訳なんかでも最近は自分の訳文を提案したりする機能もある。
しかし、Ning のすごいところは、自分のネットワークのローカライズを詳細に渡って管理者が変更できるところだ。しかも、ネットワーク内で使用される日本語表示を変更しても、Ning そのものがもつ翻訳メモリーには反映されていないようでこれがまた驚異的である。(というか逆に反映させて欲しくないのは言うまでもない、誰もがいじればめちゃくちゃになってしまうので) つまりオープンソースと同じような発想で、自身のネットワークがそれぞれ開発のブランチをもっていけるようなものだ。なので、例えばトップのタブの部分だけを英語にして他は日本語にしたりとか、その逆とか、あるいは一部の分かりにくいものだけを日英両方で設定したりもできる。自分で管理されてる方は既にご存知だったんだろうと思うが、この便利さは筆舌に尽くしがたい。筆者の場合はメニューなどを見ていて、いくらバイリンガルでも漢字が読めない人にはフレンドリーなGUIじゃないよな、と思いながら一部を手直ししようと思ったところがきっかけだったが、想像以上に便利だったので驚いた。翻訳管理ツール自体はよく見慣れたXMLベースの画面なので、中で出てくる構文タグなんかも懐かしく映った。(オンラインゲームの翻訳ではこいつに相当手こずらされた訳だが、昔の敵は今の友である)
下記がその画面
対応言語も多いし、自分で追加することもできる。また他のネットワークで使われた翻訳ファイルをそのままインポートすることも可能だ。アメリカでできたSNSだとは思えないくらいの多言語への配慮ぶりだ(失礼) ちなみに、もっとすごいことに、このローカライズは原語である「英語」にも対応している。つまり、特定の単語や言い回しを自分の好きな風に変えることができるのである。これはまたすごいことだ。かなりフレンドリーなSNSやツンデレ系、あるいはアニメ口調のSNSなんかが出来てしまう、日本でも局地的に盛り上がりそうだ。(関西弁のとかあったら面白いかも)
言語は間違いなく日本のSNSに外国人が参加する際の障壁になっているが、これまでは日本語か英語か、みたいなオプションしかなかった。日本人だけでやっていたら必要ないのかも知れないが、国際化の波はとっくにきているのだから、こういう部分にお金を使ってみてもいいのではないだろうか。どれだけ言語で不自由するかを知るには、中途半端に分かる英語や中国語のSNSを見たりするのではなくして韓国語とかアラビア語とかが目覚まし代わりによかったりして(笑)
30 1月 2010
少し急な告知だが、2月の第2週に東京で表題のような勉強会を小規模で開催する運びとなった。主な参加者としては編集経験者やEbook2.0Forumの鎌田氏、スマイルメディアの高橋誠代表などを予定している。詳細についてはまた後ほど報告予定だが、下記が概要となる。
「意力勉強会 電子出版元年の市場の動向を考える」
開催日時:2010年2月10日(木) 午後2時~4時
参加料:未定
27 1月 2010
Gizmodoが会場での機能説明動画をアップしている。これを見るとかなりスムースな感じ。
ちなみにもうAppleStoreですべての情報が開示されている。
注目の対応言語は下記。繁体字中国語と韓国語は切り捨てられた?
Languages
* Language support for English, French, German, Japanese, Dutch, Italian, Spanish, Simplified Chinese, Russian
* Keyboard support for English (US) English (UK), French (France, Canada), German, Japanese (QWERTY), Dutch, Flemish, Spanish, Italian, Simplified Chinese (Handwriting and Pinyin), Russian
* Dictionary support for English (US), English (UK), French, French (Canadian), French (Swiss), German, Japanese, Dutch, Flemish, Spanish, Italian, Simplified Chinese (Handwriting, Pinyin), Russian
ちなみに注目のiBooksはApp Storeの一無料アプリとしてダウンロードして、そこから書籍を購入する仕組みになっているらしい。
iBooks
The iBooks app is a great, new way to read and buy books.1 Just download the app for free from the App Store, and you’ll be able to buy everything from classics to bestsellers from the built-in iBookstore. Once you’ve bought a book, it’s displayed on your Bookshelf. To read it, all you have to do is tap on it and it opens up. The high-resolution, LED-backlit screen displays everything in sharp, rich, color, so it’s very easy to read, even in low light.
27 1月 2010
今のところ、iPhoneの大きいやつみたい。フラッシュでプラグインエラーが出たのが気にかかる!?
ネットブックを殺しにきたのは予想通りというか。。。でもノートブックPCも殺されそうな勢い。
後はiPhoneを殺してしまわないかどうか、というところがポイントなのだが。。。
$499だとすごいけど、$699くらいが無難なところか。。。
さて
GUIがかなりフレンドリーになった感じ。iTunesもこれで使いやすくなったか。Google Mapとの親和性が高そう。
そしていよいよスペックが公開される。。。ていうかこれはむしろ大きなiPodか?という雰囲気が。。。
バッテリーが驚異的にもつのか?動画再生10時間、スタンバイ1ヶ月って本当!?
ここでスピーカーがScott Forstallに交代。いよいよApp Storeの話に!?
今のところ、むしろiPhoneと食い合いしそうな感じの製品にしか見えないが。。。 これでいいのかアップル!?
ここでアプリの開発者が登場、性能をフル活用したデモを見せるのだろうか。。
話はいよいよ電子出版に。噂のNew York Timesとの提携が明らかになる。。。
アーティスト向けのプレゼン!?
そしてEAのTravis Boatmanにバトンタッチ
そしてジョブズがバック、いきなりキンドルの画像!? これは挑戦的な
iBooks!!
大手とも出版契約が済んでいる様子
やはりEPUB対応か
iWorkもiPadで生まれ変わる!? しかしEngadgetもGizmodoもちょくちょくライブブログが落ちるのはさすがに世界中からアクセスが集中しているのだろう。
画像などを落とし込むと画面に簡単に当てはめてくれるとか、テキストが画像をよけているのに注目
先にAppleが今や世界一のモバイル端末メーカーになったというジョブズのコメントがあったが、その立場を誇示するかのようなデモだ。関連ソフトウェアにも大きな影響を与えるだろう。いよいよMSオフィスもとどめをさされるか。。。
新バージョンのiWorks アプリをちゃっかり発表。抜け目がない。
またジョブズに戻る。いよいよお待ちかねの価格発表か!?
つなぎ放題で$29.99 ! これはナイスディールだ。
国際版は6月までに発表されるとのこと。なんとアンロック版だとか。
さぁ注目のお値段は。。。
当たった!やはりKindle DXを意識してる
WiFiバージョンは2ヶ月後に、3Gモデルは3ヶ月後に発売
そして、いよいよ。。。大きな「?」が表示される。 お決まりの One More Thing!
iBookStoreの発表か。 待ってた甲斐があった
1.25億のクレジットカード口座、120億のダウンロード、そして。。
アップルの電子出版戦略が垣間見える1コマ
ブログライブ中継は以上
iPhoneを持っている人はWiFi版もありかも。 世界中でニュースを待ってたみなさん、お疲れ様でした~
27 1月 2010
いよいよ後1時間ほどでアップルの発表が行われる。
まさに世界中のメディアが注目する瞬間だが、すでに実機を見た人もいるようだ。
筆者としてはハードのデザインよりもコンテンツ提供のプラットフォームがどうなるのかに注目している。
はたして、キンドルよりもパブリッシャーに対してフレンドリーな環境が提供されるのか、それはApp Storeとは別のものなのか?
また多言語対応の部分にも注目したい。これまではiPhone アプリのリリースは国別であったが、これは同じ形が踏襲されるのか、それともデジタルコンテンツにはもっと世界標準化されたものが準備されるのか。
気になる価格だが、Verizonの3Gプラン(2年契約)で699ドルといったところか。もしもKindleDXの価格(489ドル)を割り込んでくるようなことがあると面白いのだが。。。
対するアマゾンは権威あるHarvard Business Reviewの独占権を取得したりするなど、プレミア性の高い出版物を囲い込む形で応戦してきているようだ。
はたしてどうなるのか。筆者も午前中はニュースに貼りついて速報をお届けしたいと考えている。(本当は現地に行きたかったのだが。。。)
24 1月 2010
昨日はしばらく続いた雨が降り止んで、すばらしい天気だった。ちょうど前日にこれを見ずに帰国してしまったお客さんはかわいそうだったと思うことしきり。
さて、今週いよいよ発表されるであろうアップルのタブレット機(Slate なのか iPadなのか?ややこしいから早く決めて欲しい)の登場を前にアマゾンが連日のようにプレスリリースを出して新しい仕組みを提案してきているのはこのブログでも何度もお伝えしている。このブログへのアクセスもそうだが、Ebook2.0Forumへのアクセスもうなぎ登りの上昇を続けているようで、電子出版市場の活気はとどまるところを知らないかにみえる。が、そうは言ってもまだ肝心の端末がアジア向けには出ていない状態で、(実は規模はまだそれほどではないのだが)端末中心の動きで業界を牽引しているアメリカの動きに世界中の耳目が集まっているというところ。それもこれも全てみな、電子出版を含めた新しい可能性がこれらの新端末で産み出されることに期待しているからだ。イノベーションである。勿論実際には、可能性を作り出しているのはイノベーターであり端末は彼らの構想の中の一部分にしか過ぎない。電子出版は時代の流れであるとして、推進しようとしていく者と既存権力を維持しようと思う者、そしてその狭間で新たな動きを模索する者、それぞれの思惑がぶつかっている、非常に人間くさいドラマがそこにあるように思う。しかし今回ばかりは日本も内需ではなく、世界を市場としてみる視野を身につける格好のチャンスだと思う。国内にはすでに長年の出版業界で培われてきた相応のパワーバランスと人間関係が出来上がってしまっている。長年住み慣れた世界を去るのはたやすいことではないが、そこが快適でないことに気づいたなら、新たな活動の場を海外に求めるのも一つだろう。
これまで電子出版における日本のクリエーター(漫画家、作家、イラストレーター、アーティストなど)の支援を表明してきたが、これと同時に編集者や記者といった、今までどちらかというと日の目をあまり浴びることのない立場にいた方達にも、今回のチャンスは大きなものであるということに最近気づかされるようになった。 続き