Archive for 1月, 2010

少し急な告知だが、2月の第2週に東京で表題のような勉強会を小規模で開催する運びとなった。主な参加者としては編集経験者やEbook2.0Forumの鎌田氏、スマイルメディアの高橋誠代表などを予定している。詳細についてはまた後ほど報告予定だが、下記が概要となる。

「意力勉強会 電子出版元年の市場の動向を考える」
開催日時:2010年2月10日(木) 午後2時~4時
参加料:未定

詳細はこちら

Gizmodoが会場での機能説明動画をアップしている。これを見るとかなりスムースな感じ。

iBook

ちなみにもうAppleStoreですべての情報が開示されている。

ipad

注目の対応言語は下記。繁体字中国語と韓国語は切り捨てられた?

Languages

* Language support for English, French, German, Japanese, Dutch, Italian, Spanish, Simplified Chinese, Russian
* Keyboard support for English (US) English (UK), French (France, Canada), German, Japanese (QWERTY), Dutch, Flemish, Spanish, Italian, Simplified Chinese (Handwriting and Pinyin), Russian
* Dictionary support for English (US), English (UK), French, French (Canadian), French (Swiss), German, Japanese, Dutch, Flemish, Spanish, Italian, Simplified Chinese (Handwriting, Pinyin), Russian

ちなみに注目のiBooksはApp Storeの一無料アプリとしてダウンロードして、そこから書籍を購入する仕組みになっているらしい。

iBooks
The iBooks app is a great, new way to read and buy books.1 Just download the app for free from the App Store, and you’ll be able to buy everything from classics to bestsellers from the built-in iBookstore. Once you’ve bought a book, it’s displayed on your Bookshelf. To read it, all you have to do is tap on it and it opens up. The high-resolution, LED-backlit screen displays everything in sharp, rich, color, so it’s very easy to read, even in low light.

iPad

Jobs and iPad, his yougest child

ソフトキーボード

スケジュール表 カレンダー

コンタクトの新しいGUI?

今のところ、iPhoneの大きいやつみたい。フラッシュでプラグインエラーが出たのが気にかかる!?

ネットブックを殺しにきたのは予想通りというか。。。でもノートブックPCも殺されそうな勢い。

後はiPhoneを殺してしまわないかどうか、というところがポイントなのだが。。。
$499だとすごいけど、$699くらいが無難なところか。。。

さて

iTunesは便利になったっぽい

iTunes2

GUIがかなりフレンドリーになった感じ。iTunesもこれで使いやすくなったか。Google Mapとの親和性が高そう。

GoogleMap?

そしていよいよスペックが公開される。。。ていうかこれはむしろ大きなiPodか?という雰囲気が。。。

サイズ

スペック 容量はたいしたことないが。。

バッテリーが驚異的にもつのか?動画再生10時間、スタンバイ1ヶ月って本当!?

脅威のバッテリー性能

ここでスピーカーがScott Forstallに交代。いよいよApp Storeの話に!?

ゲーム画像 画面が大きいので楽しそうだけども

GUI

今のところ、むしろiPhoneと食い合いしそうな感じの製品にしか見えないが。。。 これでいいのかアップル!?

SDKは本日からDL可能に
SDK

ここでアプリの開発者が登場、性能をフル活用したデモを見せるのだろうか。。

FPS Nova デモ 大画面を近くで見るのは確かに迫力大

話はいよいよ電子出版に。噂のNew York Timesとの提携が明らかになる。。。

NYT登場

NYT

NYT2

NYT3

アーティスト向けのプレゼン!?

ト○ロ!?

ブラシのプレゼンだそうな

もう一枚!

そしてEAのTravis Boatmanにバトンタッチ

野球ゲーム

そしてジョブズがバック、いきなりキンドルの画像!? これは挑戦的な

アマゾンについに宣戦布告

iBooks!!

iBooks誕生!

iBooksの書棚

eInkみたいな画質?

大手とも出版契約が済んでいる様子

大手出版社との提携も

やはりEPUB対応か

ストアフロント

フォントが選択可能

電子書籍目次

iWorkもiPadで生まれ変わる!? しかしEngadgetもGizmodoもちょくちょくライブブログが落ちるのはさすがに世界中からアクセスが集中しているのだろう。

iWork iPad用DTPツールに

iWork2

画像などを落とし込むと画面に簡単に当てはめてくれるとか、テキストが画像をよけているのに注目

画像を挿入するとテキストが自動で位置を補正

表計算なども組み込める

先にAppleが今や世界一のモバイル端末メーカーになったというジョブズのコメントがあったが、その立場を誇示するかのようなデモだ。関連ソフトウェアにも大きな影響を与えるだろう。いよいよMSオフィスもとどめをさされるか。。。

新バージョンのiWorks アプリをちゃっかり発表。抜け目がない。

iWorks app

またジョブズに戻る。いよいよお待ちかねの価格発表か!?

つなぎ放題で$29.99 ! これはナイスディールだ。

iPadの価格プラン

国際版は6月までに発表されるとのこと。なんとアンロック版だとか。

国際版はアンロックバージョン

さぁ注目のお値段は。。。

注目のお値段は

当たった!やはりKindle DXを意識してる

$499! キンドル死んだか!?

価格プラン 3GキャリアはVerizonではなくAT&Tのよう

WiFiバージョンは2ヶ月後に、3Gモデルは3ヶ月後に発売

アクセサリーにも注目。まずはキーボードドック
キーボードドック

フォトフレームとしても使えるケース
スタンドにもなるケース

純正ケースの外観 (同梱?)

外観

A4Chip

そして、いよいよ。。。大きな「?」が表示される。 お決まりの One More Thing!

iBookStoreの発表か。 待ってた甲斐があった

iBook Store発表 いよいよ電子出版市場は戦国時代に突入!?

1.25億のクレジットカード口座、120億のダウンロード、そして。。

締めくくりのコメント しかし。。。意味が

アップルの電子出版戦略が垣間見える1コマ

キンドルとの違いを示唆!?

FINISHED!

ブログライブ中継は以上

iPhoneを持っている人はWiFi版もありかも。 世界中でニュースを待ってたみなさん、お疲れ様でした~

GizmodoのLiveBlog on Apple Tablet Event

GizmodoがLiveblogで現地から実況中継

Engadgetはこちら

Crunch Gearのライブストリーミング中継!(渡辺さんありがとう!)

いよいよ後1時間ほどでアップルの発表が行われる。
まさに世界中のメディアが注目する瞬間だが、すでに実機を見た人もいるようだ。
筆者としてはハードのデザインよりもコンテンツ提供のプラットフォームがどうなるのかに注目している。
はたして、キンドルよりもパブリッシャーに対してフレンドリーな環境が提供されるのか、それはApp Storeとは別のものなのか?
また多言語対応の部分にも注目したい。これまではiPhone アプリのリリースは国別であったが、これは同じ形が踏襲されるのか、それともデジタルコンテンツにはもっと世界標準化されたものが準備されるのか。

気になる価格だが、Verizonの3Gプラン(2年契約)で699ドルといったところか。もしもKindleDXの価格(489ドル)を割り込んでくるようなことがあると面白いのだが。。。

対するアマゾンは権威あるHarvard Business Reviewの独占権を取得したりするなど、プレミア性の高い出版物を囲い込む形で応戦してきているようだ。

はたしてどうなるのか。筆者も午前中はニュースに貼りついて速報をお届けしたいと考えている。(本当は現地に行きたかったのだが。。。)

イベント開始を待つ人々 (Photo by Gizmodo)

イベント開始を待つ人々 (Photo by Gizmodo)

昨日はしばらく続いた雨が降り止んで、すばらしい天気だった。ちょうど前日にこれを見ずに帰国してしまったお客さんはかわいそうだったと思うことしきり。

さて、今週いよいよ発表されるであろうアップルのタブレット機(Slate なのか iPadなのか?ややこしいから早く決めて欲しい)の登場を前にアマゾンが連日のようにプレスリリースを出して新しい仕組みを提案してきているのはこのブログでも何度もお伝えしている。このブログへのアクセスもそうだが、Ebook2.0Forumへのアクセスもうなぎ登りの上昇を続けているようで、電子出版市場の活気はとどまるところを知らないかにみえる。が、そうは言ってもまだ肝心の端末がアジア向けには出ていない状態で、(実は規模はまだそれほどではないのだが)端末中心の動きで業界を牽引しているアメリカの動きに世界中の耳目が集まっているというところ。それもこれも全てみな、電子出版を含めた新しい可能性がこれらの新端末で産み出されることに期待しているからだ。イノベーションである。勿論実際には、可能性を作り出しているのはイノベーターであり端末は彼らの構想の中の一部分にしか過ぎない。電子出版は時代の流れであるとして、推進しようとしていく者と既存権力を維持しようと思う者、そしてその狭間で新たな動きを模索する者、それぞれの思惑がぶつかっている、非常に人間くさいドラマがそこにあるように思う。しかし今回ばかりは日本も内需ではなく、世界を市場としてみる視野を身につける格好のチャンスだと思う。国内にはすでに長年の出版業界で培われてきた相応のパワーバランスと人間関係が出来上がってしまっている。長年住み慣れた世界を去るのはたやすいことではないが、そこが快適でないことに気づいたなら、新たな活動の場を海外に求めるのも一つだろう。

これまで電子出版における日本のクリエーター(漫画家、作家、イラストレーター、アーティストなど)の支援を表明してきたが、これと同時に編集者や記者といった、今までどちらかというと日の目をあまり浴びることのない立場にいた方達にも、今回のチャンスは大きなものであるということに最近気づかされるようになった。 続き

少し話が遡るが、今年のCESで撮影した大量の写真はまだほとんどブログにアップできておらず、どうしようかと考えているところだが、どうしてもこの1枚だけは先に載せておきたかった。

CES2010で躍進が目立った韓国企業であるが、彼らの絶妙なPRの技の一端を伺えるのが下記の一枚。

LGが受賞したInnovation Awardsの作品群だが…よく見ると何か変!?

LGが受賞したInnovation Awardsの作品群だが。。。何か変!?

この掲示はブースのはるか上方にあり、遠目に見ると今や世界一となった韓国の家電メーカーSAMSUNGの後を追う急成長を遂げているもう一つの韓国系大企業LGの躍進ぶりに驚嘆させられる。
筆者もブースでは気づかなかったのだが、後で画像を拡大してよく見るとおかしなことに気づいた。なんと作品が重複してるではないか!?
いやいや、なんとも彼らはやはり根がマジメな日本企業よりも一枚上手なようである。(それを他の企業が上手と思うかどうかは別として、だが)

ブース内の他の光景
LGブース1

LGブース2

ここのところ連日のように世間を騒がせる報道としては来週発表されるであろうアップルのタブレットとアマゾンのキンドル戦略であるが、実は一般的には報道されないニュースもあり、これは逆に我々のような既存のパブリッシャーに対して大きな影響を及ぼすようなものだったりする。アマゾンが矢継ぎ早にリリースを出す背景を理解する上では、こういったアマゾンとの既存のビジネス関係の中から得られる情報も非常に重要である。

アマゾンが今回、出版契約を変更してきたのには明らかにいくつかの大きなポイントがある。

1.アップルのタブレットへの対抗心
これは言わずもがなである。アマゾンはもともと書店であるので、そのいわば本丸を奪われるわけにはいかないので、ここのところのアマゾンは本気で事前に準備してきたプランの中から現実に最適と判断したものを迅速に実行してきている。

2.通信料の削減
今回ファイルサイズに応じて出版の最低価格を調整してきたのは、今後アップルとの競争力に打ち勝つために印税を増やそうとした場合(一部のコンテンツを70%にアップすることを表明している)にどうしてもネックとなるアマゾン負担通信料の出費を抑えたかったからである。アップルはVerizonなどの3Gキャリアと提携すると噂されているので、その点でつなぎ放題プランをもっているアップルのほうが有利になるから、アマゾンとしては通信料で書籍販売から得られる利益を削るのは極力避けたいところだ。

3.パブリッシャーのコントロール強化
今回アカウントを一つにまとめるように言ってきたのは、実はかなり厳しい要請である。何故かというと、アマゾンはキンドルストアへの出版の際に何かと理由をつけて出版をストップすることができるのだが、これをされると例えば著作権が問題になって止められているものが一つあると、それ以外の出版予定物も全部止められてしまう。もともとは銀行口座一つにつき一アカウントであったので、これを回避するために弊社も含め複数のアカウントを利用していたところは大いに違いないのだが、今回はこれを管理しやすくするために一つにまとめろと言ってきたわけである。つまり、アマゾンの言うことを聞かないパブリッシャーは全ての新規刊行物を止められてしまう可能性がある、ということだ。(ちなみにアマゾンのパブリッシャー向けのカスタマーサポートは大変お粗末なものであり、担当者の名前すら出てこない)

4.多言語化対応による世界進出とコンテンツ増加
アマゾンは今回ドイツ語・フランス語を追加することで、コンテンツ数の増加とキンドルの販売数拡大を狙っている。アマゾンはアメリカから東回りに展開するというのが私の持論だったので、カナダで話されているフランス語の次にドイツ語、というのは合点がいく。人口でいくならこの時点でスペイン語が足されていてもいいはずだが、恐らく対象としている人口を先進国にまずは絞ったのだろう。次はスペイン語・イタリア語とラテン語で拡大してくる可能性が高い。

例えば、上記のようなポイントは一般にアナウンスされていることから分析できることであるが、3については報道されない事実もあり、これが我々パブリッシャーの間では物議をかもしている。実はアマゾンは今回の契約更改に乗じて、これまで可能だったイメージファイル経由での多言語表示コンテンツに対して規制をかける動きを見せたのだ。下記に実際にアマゾンから届いたメールを転載する。 (続きを読む…)

アマゾンがまたやってくれた。キンドル用にアクティブ・コンテンツを出版(販売!?)することができるプラットフォームを提供するらしく、その開発用キット(KDKと呼ぶらしい)をリリースすることを発表したのだ。

アマゾンKDK

Revenue Share

User revenue will be split 70% to the developer and 30% to Amazon net of delivery fees of $0.15 / MB. Remember that unlike smart phones, the Kindle user does not pay a monthly wireless fee or enter into an annual wireless contract. Kindle active content must be priced to cover the costs of downloads and on-going usage.
Pricing Options

Active content will be available to customers in the Kindle Store later this year. Your active content can be priced three ways:

* Free – Active content applications that are smaller than 1MB and use less than 100KB/user/month of wireless data may be offered at no charge to customers. Amazon will pay the wireless costs associated with delivery and maintenance.
* One-time Purchase – Customers will be charged once when purchasing active content. Content must have nominal (less than 100KB/user/month) ongoing wireless usage.
* Monthly Subscription – Customers will be charged once per month for active content.

Active content applications have an upper size limit of 100MB. Applications larger than 10MB will not be delivered wirelessly but can be downloaded from the Kindle Store to a computer and transferred to the user’s Kindle via USB.

(まとめ)
レベニューシェア
売り上げの70%を開発者側に、30%をアマゾン側への配分とし、1MBあたり$0.15の通信コストが発生する。

アクティブ・コンテンツは今年中にキンドルストアを通じて販売されるようになり、価格設定には下記の3つのオプションがある。

1.無料 - 1MB以下のコンテンツで1ユーザーあたり月間100KB以下のパケット通信しか発生しないものに関しては無料で提供できる。
2.買いきり型 – 1回だけの支払いで継続して使える。通信制限に関しては1と同じ。
3.月額課金型 – ユーザーには毎月課金される。

コンテンツのサイズは100MB。10MBのコンテンツはウィスパーネット(ワイヤレス通信)では配信されず、コンピューターとUSBを介して手持ちのキンドルにダウンロードされる。

新型電子ブックリーダーの開発の件も含め、日本からの来客との連日のMTGで少し体調を崩してしまった。
大きな原因となっているのはもはや日常化している激務そのものではなく、ここのところ降り続けているすごい雨だと思う。カリフォルニアの家屋や電力インフラなどは一年に一度しか雨季がない地中海性気候の温暖な気候を受けてか、とても雨に弱い。信じられない話だが、雨が降ったらすぐに停電になったりするし、あちこちの道路が水浸しになって洪水みたいな状態だ。また傘をあまりにも使わないので雨が降ると急にみんな傘を捜し始めてあたふたするのも面白い光景だ。(筆者はむしろ面倒くさいので、ほとんど傘を使わない) 風邪気味なのは雨に濡れたのも原因だと思う。昨夜は他にもゲーム業界の知己がLAを訪問されたのでMTGをしたのだが、この時期にカリフォルニアを訪問された方は西海岸自慢の天気を楽しめず本当に気の毒だ。

さて、表題の件だが、アマゾンはキンドルストアの印税率(ロイヤリティ)を引き上げることを発表した。これは紛れも無く、アップルのタブレットを意識してのことだ。今のところシェアはアマゾンの次にSONY、そして恐らくNOOK(バーンズアンドノーブル)が来ていると思うが、アマゾンが意識しているのは間違いなく来週発表されると言われているアップルのタブレット機だ。電子ブックリーダーの開発は例えばMP3プレイヤーのそれと比べて、デザインや機能性そのものよりもハードを支えるコンテンツインフラを整えることが非常に重要である。今のところこの点でアマゾンは一歩先を行っている訳だが、すでにiTunesで独自路線、いわゆる「垂直統合型」ビジネスモデルを確立しており絶大なユーザーの支持をうけているアップルが打ち出す戦略はやはり大きな脅威なのである。(ここのところのアマゾンのスピード感溢れるビジネス展開は、やはりアマゾンがITベンチャーの走りであったことを思い出させてくれる、すばらしいの一言だ)中国のそれは、これよりも速いと思うが、日本にもこのスピード感があればいいと痛切に感じる。
環境問題の議論にも通じるのだが、「船頭多くして山船に登る」という諺があるように、先ごろの出版社の「大同団結」などはスピード感を下げる最たるものである。なぜなら、恐らく「電子出版」という言葉の定義や市場に対する認識そのものが統一されていない上に、既存の諸団体間での力関係といったものがそのまま色濃く意思決定に反映されるだろうからである。またお偉方は忙しいのでスケジュールが会わない。何でも談合で決めようとする日本人の姿勢があちこちで派閥論争を巻き起こし、どんどん方針がずれてくる。つまり意思決定が遅くなる。

AmazonCEO

コンテンツ、ハード、プラットフォームを一社が提供する垂直統合型ビジネスモデルについての利点というのはこの部分での「一枚岩」的一体感にあり、アマゾンはむしろアップルよりもこの点について最近柔軟に対応できてきているように思う。もちろん書籍コンテンツはアマゾンの本丸であり、これを落とされることはアマゾン自身の死活問題であるので当然だ。垂直統合型はつまり、その「陣形」が背水の陣であることを意味している。ここを突き崩されればビジネス自体が立ち行きいかなくなる訳であるし、また自身がやっていることをオープンにすることで、敵に手の内を完全に晒すことになるから相手が上手であれば、先を見越されてしまう。アマゾンはもちろん上場会社(AMZN)であるから、いわゆるコンプライアンスなどを全部クリアーしてこのスピード感である、これはもはや驚異的と言わざるを得ない。つまり、かなりの事前準備ができているということだ。かなり卓越したビジョンをもったブレーンとその意見をうまく吸収して意思決定に結びつける体質が存在しているのだと思う。(この点ではGANA4社の中では任天堂に近いのかも知れない)

電子出版ビジネスに参入しようとしているのであれば、この点を十分に理解してから参入すべきである。多くの電子ブックリーダーを見ていて思うことは、その先読みの甘さだと思う。アマゾンのモデルは完全にオープンになっている訳だから、ビジネスにおいての「リバースエンジニアリング」はやろうと思えば誰でもできる、が正しくそれを行うには専門性とかなりのコストがかかることになる。電子出版の専門家を名乗る方がもしもあなたの身の回りにいたら、この点についてしっかりとした知識をもっている人物かどうかをよく見極めて頂きたい。その人物はキンドルなどのリーダーを実際に利用しているか、出版する側と購買する側の両方の観点をもっているか、日本だけの市場観で物事を判断していないか、など。例えばCOPIAやSKIFFのサービスがアメリカのメディアでは取り上げられても、日本ではまったく無名であるが、これらが市場で注目を浴びる理由とは何であるか?EPUBフォーマットの利点は何で普及のための課題は?など、少し質問をすれば大体の見識をうかがい知ることができる。「電子出版=携帯とマンガ」という単純な見方しか提供できないようであれば、それはあくまでも日本市場の話しかできておらず、電子出版のブレインとしては不適格である。今の電子出版市場は「英語」を中心に回っている、この点において実際には日本は圧倒的に不利であるが、これは何もこの業界に限ったことではなく、単純に「国内市場」と「世界市場」の間の溝が広がりすぎたということだ。

海外から日本を見ていると、市場は毎回まったく同じ間違いを繰り返しているように思えるのだが、その主たる原因となっているものの一つは「偏見」であり、その中身には「狭い視野」と間違った「前提条件」があり、いうならばそれが内需に甘んじて世界を見据えてくる力を養ってくることのできなかった島国根性のメンタリティの特性である。(勿論筆者は日本人としてこれを自身にも置き換えて考えている)
話をマラソンに例えると、(「鎖国か開国か」といった)議論をスタート地点に立つ前に続けるのではなく、先にスタートしてから軌道を修正すればいいではないか。途中で疲れたら水分を補給したり休んだりしたらいい。回り道したと思ったら、全速力で戻ればいい。立ち止まっていることでは何も生み出されないばかりではなく、足元がぐらつき始めるのである。コースを分析して走り始めたとしても、その頃までには先頭集団がコースを変えているかも知れない、というのが昨今のグローバルビジネスを取り巻く環境である。

ISBNをもたないオリジナル電子コンテンツに対してもこの新しい印税率(70%-通信コスト)が適用されるか分からないが、これにより、当社は今後何をしなくても売上が倍増する恩恵を受ける。電子出版ビジネスは累乗のビジネスであるという筆者の自説がここでも証明されたことでそれはそれで嬉しいニュースではあった。

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