30 9月 2010
日本にいる皆さんはPOPJNEOという耳慣れない雑誌をほとんど手にとって見たことがないかも知れないが、音楽業界にゆかりがある人ならばCURE (キュア)という雑誌を書店などで目にしたことがあるかも知れない。CUREは世界にもそのまま英語として通じるくらいのブームを巻き起こしたヴィジュアル系バンドに特化した雑誌であり、日本のヴィジュアル系業界で最大手の雑誌だ。POPJNEOを発刊しアメリカから世界に向けて日本のポップカルチャーを伝えるのに尽力していた市村恭一氏はそのCUREを日本で立ち上げた立役者であり、大手取次10社全社と販社契約をもつ出版会社グループを切り盛りし一時は上場準備までしていたほどの切れ者である。
市村氏が運営するWANANNInc.(ワンアン)はPOPJNEO以外にもJANIMEという日本のアニメを紹介する新聞も出していた。POPJNEOは市場で盛り上がったマンガブームなどの追い風もあり、全米中の大手書店で一般販売されるまでに成長していたが、諸般の事情で定期刊行物としての紙媒体発行事業からは一時撤退し、現在はオンラインと全米中で開催されるアニメ系のコンベンションでかわら板的な号外を配布しているに留まっている。しかし、現在も市村氏の周りには日本のポップカルチャーをこよなく愛する世界中のファンがおり、POPJNEOのバックナンバーを購入するものはまだ後を絶たない。マイスペース上に存在するPOPJNEOページにはLA在住の元XJAPANのYOSHIKI氏を含め、有名人が多数参加しているが、参加者の多くはごく一般的なユーザーであり、彼らは世界中からこのサイトを目ざとく見つけ詰めかけてきたのだ。
ヴィジュアル系のファンというとど派手な衣装の「ゴスロリ」や顔が分からなくなるくらいのメイクアップなど日本でもかなり奇抜なファッションで有名だが、それこそハードロックやメタルなどの派手な音楽を演奏するアーティストやバンドが多いアメリカでは本当にユニークなファンが多いらしい。筆者もアニメのコンベンションなどには何度か足を運んだことがあるが、コスプレの文化はこちらのほうがはるかに見栄えがいいように思う。これはもともと日本のアニメは日本人というより多様な容姿の特徴をもつ外国人ををモチーフにしており、これらのコスプレファッションには、やはり黒髪に黒い瞳の日本人よりも金髪や茶髪、緑や青い瞳の欧米人のほうが似合うということもあるだろう。市村氏は渡米時に英語をまったく話せなかった。それなのにわざわざアメリカまでやってきたという度胸にも驚かせられるが、まだ英語にも全く不慣れな時期にPOPJNEOを進めている段階で対応に苦労したのは、実はアメリカ人ではなくこちらにいる日本人との関係づくりだったということを聞いてもっとびっくりした。全米規模で配信される雑誌を運営していくには、広告主などのスポンサーの存在が必要不可欠だが、当時苦心して彼が営業をして回った在米の日系企業の大半は彼がしていることの意義も目的も全くといっていいほど理解できなかったという。
POPJNEOの本質は日本のクールな文化を海外に紹介していくことであり、その過程でSUSHIやSAKEのように世界的に知名度を得た日本の産物をもっと海外に打ち出していくことは可能なはずであった。にも関わらず雑誌のコンセプトを説明しようとするや否や、「うちはアニメと関係ないので」というとんちんかんな回答で話を進めることに釘を刺されたというような苦心をされたことが一度や二度ではないということだ。何事につけても他者に依存しなければ気が済まず、いわゆる「権威」が存在しないような先進的なことには目を向けたがらない日本人の悪い癖は海外にでても変わらないようだ。筆者も電子出版のビジネスを通じてまったく同じ質の体験をしたので痛いほどよくわかるコメントだった。顧客からはサポートされているにも関わらず、後方支援してくれるものがいない、あるいはそのいわば「身内」から刺される痛さや辛さは筆舌に尽くしがたい。
しかし時代は変わり、この先進的な雑誌はカラー紙面をフルに活用できて表示スピードもKindleより格段に速いiPadという媒体を通じて再生を遂げようとしている。課金モデルも分かりやすく、今回は広告の心配をすることもなさそうだ。
(*この原稿を書いた後に、POPJNEOは先日見事にウェブ媒体としてリニューアルを果たし、新しい一歩を歩み始めた)
29 9月 2010
手元にあるJETRO の資料によると、中国の携帯人口はすでに7 億人に達しているという。それでも人口の半分強なのだから、やはり13億という世界最高の人口を有している中国の力と市場の潜在価値はとんでもなく大きい。日本はこの近くて遠く、そして歴史上最も深い関わりがあるといっていい中国市場と電子出版市場でどう関わっていくべきなのだろうか。
実は昨年の冬に筆者がアメリカに来てからずっとお世話になっているリチャード藤田氏という方の依頼で中国の3G通信に関する事業でとあるプロジェクトを託された。それから4ヶ月ほどは電子出版でアマゾンとのやり取りに戸惑っている間に実務をスタッフにまかせて筆者自身はその案件にどっぷりと漬かっていた。そのプロジェクトの概要は機密上あまり深く話せないが、その進展の中で中国の通信関係でかなり高い地位にいる要人と接触することもでき、中国という市場がどれだけ電子出版市場に興味をもっているかという片鱗も伺い知ることができた。
とは言え筆者も製造業に従事していた時から中国との関わりは深く、多いときには年に七度ほど出張して製造管理や新ベンダーの開拓をしていたころがある。当時からダイナミックで人間臭い中国市場には圧倒されっぱなしだったが、今の中国はますますパワフルになってきているということは中国が今や自動車、携帯、電子機器などの多くの市場において世界一であることからも簡単に推し量ることができる。その中国はが2013年には電子出版においても世界一の市場になるという観測が発表されたことは以前ブログにも取り上げた。
中国には世界一の通信キャリアで香港証券市場で堂々の時価総額一位に輝く中国移動(ChinaMobile)を筆頭に三つの通信キャリア会社が存在する。現状はそれぞれが異なる通信規格を推進しているのだが、中国の目論見はドイツのシーメンス社と共同開発してきた独自企画であるTD-SCDMAという規格である。この規格は中国が総力を上げて推進してきている規格であり、すでに何兆円という国家予算が投じられてきている。このTDSCDMAを統括しているのがTD-SCDMA産業連盟という団体であり、中国移動や中興(ZTE、ハード最大手の会社で中国移動の端末の70%を供給していると言われている)や大唐通信(産業連盟のトップである楊書記長はこの大唐通信あがりのエンジニアであり、もともとシーメンスと共同でTD-SCDMA規格をつくりあげたのもこの会社である)、連想集団(Lenovo、先日IBMからThinkPadというノートPCの製品ブランドを買収した)といった関連企業大手は皆この組織に参画している。
*現在AppleのiPhoneは中国移動ではなく業界三位のチャイナテレコムが供給しているのだが、最近中国政府(というか産業連盟のことだと思う)がApple社に対してiPhoneをTD規格に対応させるように要請しているという噂が話題になった。
すでに中国では電子出版の波もきているが、肝心のアマゾンが(台湾を除いた)中国市場にKindle2(国際版)を供給していないし、競合のAppleも中国市場では苦戦している。何より中国政府は自国の企業の利権を奪いかねない垂直統合型のビジネスモデルに対しては寛容ではない。これは(もはや潜在的ではなく実際的に)世界一の市場を有して者としてはある意味当然とも言える。検索の世界最大手のグーグルでさえ、実質的に中国市場からは撤退せざるを得なかったが、そもそもシェアで中国検索最大手の百度にはまったく及んでいなかったので、一連の騒動の背景には中国対米国の政治的背景が垣間見える。
しかし、これはこれまで中国とモノづくりで長い間関係を構築してきた実績があり、何より同じ儒教や仏教といった文化的な背景と何より漢字という共有財産を有する日本にとっては本来プラスな話のはずである。中国は経済的に発展してきたとは言え、上海や北京などの一部の都心を除けばまだまだ文化水準は全国的に低く、ハードウェアのコモディティ化に必要な成熟したユーザーエクスペリエンスをもたない。つまりこれは、中国が単体で世界水準のモノづくりをするにはまだしばらく時間がかかるということで、例えば携帯電話について考えると新製品の仕様を決定する際に重要な機能やデザインといった面において、日本や韓国、あるいは米国のようにすでにコモデティ化するほど使い込んでいる消費者を大量に抱えている市場からの意見は大変貴重である。(しかし、中国は急速に躍進してきており、その力を過小評価することは危険である。現にアメリカにおいては昨年30社以上のNASDAQ上場会社が中国資本によって買収され、2010年はこれが40社の規模に膨らむとされている。日本においては上場会社の買収よりも先端技術や不動産に注目がいっているようだが、米国のサブプライム問題に単を発したこの世界恐慌を背景に世界一の外貨準備高を保有する中国の資本、いわゆるチャイナマネーは日本にも大量に流入してきているのだ)
シャープや東芝、日立にソニー、松下といった日本の大手家電メーカーで中国に生産拠点をもたない会社はないだろう。それくらい日本のモノづくりは中国との密接な関係の上で成り立ってきている。そして中国からしても、一億人以上の人口を対象に独自のケータイ文化という成熟したユーザーエクスペリエンスをもち、自分たちの利権を脅かす「垂直統合型」のビジネスモデルという勝ちパターンをもっていない日本はどちらかというと与し易いのだ。しかし今回この通信業界の中に入り込んで仕事をした感じでは、日本はまったくこれらの中国の市場における主要な企業や政府筋の重要な人物とパートナーシップを組めていないようだ。
そしてこれとは反対に積極的に動いているのが、今や世界一の家電メーカーとなったサムスン電子である。(ちなみにサムスン電子は今年日本市場において3Gの次の規格であるLTE規格の承認を受けた最初の端末を作ったメーカーでもある) もちろん地の利ということでは韓国は歴史を通じて常に中国との関係を考えざるを得ない立場におかれていたので、中国の驚異と潜在価値を痛いほど認識しているに違いないが、それでも彼らは漢字をもはや日常的には使用しておらず、書体は違うとは言えど、同じ漢字文化を共有していて、同等かそれ以上の水準をもった携帯文化を誇る日本が韓国の後塵を拝しているというのは残念なことである。
とは言え、中国の電子出版市場はまだまだ始まったばかりである。ユーザーエクスペリエンスも発展途上であり、現在最も多く読まれている電子書籍コンテンツは新聞だという。また英語の次に日本語を学ぶ人口が多いなど、国民的に親日感情が強いことで知られ、大陸で使われている簡体字よりは日本語の漢字に近い繁体字を使い続けている台湾の存在も今後の電子書籍市場を考える上で重要である。
日本が世界に進出する秘策のところでも話したが、日本語のコンテンツを中国語化したもの、特に中国語圏の人々に日本語を教えるためのコンテンツなどはこれからも強い需要があるに違いない。昨今日本を訪れる観光客の中で最も比率が高いのは中国系の人々であるということからも、極東アジアで唯一先進国の仲間入りをして、戦後の焼け野原からこれだけ物資に恵まれて成熟した文化を育んだ日本、そしてその首都東京や古都である京都や奈良のブランドというのは当分の間高いステータスをキープできるはずだ。中国に対する電子出版を考える点では、これまでのように日本に到着した観光客や留学生をターゲットとするのではなく、電子ブックのコンテンツを利用するなどして日本の文化や製品、ある
いは観光地を売り込んだりするなどということをする戦略に意義があり、また何かと物議を醸す日中関係において相互理解を深めることにもつながる、双方向の言語学習はまたとないツールに成りうるという視点を忘れないで頂きたい。
29 9月 2010
今日は長女の9歳の誕生日だった。早めに家に帰って、家族で夕食を食べ、それからみんなを寝かしつけてからとある商談の場へ。
遅めの時間の商談が終わって、まだ体調悪いので寝ようかと思ったら表記の件に関するメールが。。。ソーシャルメディアブロガーを自認する身としてはやはり伝えずにはいられないこのニュース。日本でどれだけの人が取り上げるか分からないが、数年使ってきたユーザーの一人としては是非とも取り上げたいニュースです。
Xmarks は200万人以上の利用者に対して一通のメールを先程配信しました。90日後にサービスを停止するということを告知するものです。
Xmarks は異なるマシン間でブックマークを同期できるというサービスで、登場した時はかなり画期的なサービスとして注目を浴びました。その後順調にユーザーを獲得し、VCからの調達なども経ながら、サービス自体は無償で提供し続けてきながら収益化の道を模索していたようです。
メールには詳細はブログで、という風に伝えてあります。
ちなみにここで紹介されている代替案というのはコチラのページから参照できる。
何かと思えば、要は各ブラウザ(IE、FF、Safari、Chrome)の提供する補完サービスである。つまり競合がいなかったということだ。
競合もおらず、ユーザーは200万人獲得できていて、500万台のマシンにインストールされている。そして毎日3000人の新規ユーザーを獲得できているにも関わらず、サービスは停止せざるを得ない。これはまさにITベンチャーの非業である。
そして、このメールには「詳細」を説明しているとされるブログへのリンクが悲しく貼られている。
ちなみに同ブログにはユーザーから「お金を払うから続けてくれ!」といったコメントが続々と寄せられている。それだけユーザーに愛されたサービスだったということだ。コメントにもあるが、例えば一人から500円とって、100万人が残ってくれれば5億円である。それだけのリテンションがあるかどうか分からないが、この金額と回収できるブックマークのデータに興味をもってこの会社をサルベージするような会社は出てこないものだろうか。。。
タイトルはEnd of the Road for Xmarks、Xmarksの旅の終りに、とでも訳そうか。何とも悲しい物語である。
かなり長く内容の濃い文章なので、是非とも原文に触れて頂きたいが、英語が苦手な方も多いと思うので下記にかいつまんだ訳文を掲載する。
今これを書いているのはXmarks社にとってまったく普通の日曜日だ。同期サービスはいつも通り運営されていて、サーバーは500万台のマシンにインストールされている200万人のユーザーのアカウントをつつがなく管理している。今日はまだ終わってないないけれども、今の時点で本日3000人目の新規ユーザーの登録が確認された。
だけど、明日はまったく違う日を迎えることになる。なぜかって、エンジニアの一人が全ユーザーに対して90日後に我々のサービスが終わるというメールを一斉配信するためのスクリプトを走らせるからだ。
この投稿ではXmarksの物語をかいつまんでお話しようと思う。どんな風にして世界で最も使われたブラウザー同期サービスとなり、そして、にも関わらずサービスを中止しないといけなくなってしまったか。(原文では pulling the plugという表現が使われている)
長い原文を読みたい方は コチラ
28 9月 2010
アマゾンがまたしてもやってくれた。あまり「衝撃」という単語を使い古したくないのだが、この場合はこの形容詞が一番似つかわしいと思った。アマゾンはクラウド環境による囲い込みを電子書籍市場で着々と進めており、その「陣形」もはや終盤という感が強い。
Amazon Launches Kindle for the Web
Readers can now read the first chapter of Kindle books for free through web browsers – no download or installation required
Bloggers and website owners can embed Kindle book samples and earn referral fees on sales
このKindle for the Webはダウンロードやインストールが一切不要でブラウザーだけで機能するらしい。
また、アフィリエイトのようなブロガー向けの収益プランの工夫もあるらしい。
詳細はコチラのページで確認できる。
最初の章はタダ読みできるようになっているようだ。フォントのサイズや行間、そして背景などを変更することができる他、お気に入りの本をツイッターやFacebook、あるいは電子メールなどを介して友達や家族と共有することもできる。これら全てがブラウザ内で完結してしまうらしい。
また、著者がこのツールを使って自著を宣伝することもできるということで、Karen McQuestionとHey Miller という著者のブログが例に挙げられている。これは電子出版では著者が自作を宣伝していくしくのが主流になる、ことを示唆するものであり、Sebastian Jungerや意力運営の電子出版SNSのような著者運営のSNSでの動きとも親和性が高いので今後拡大していくことも十分考えられる。
これにより著者と読者の距離はぐっと縮まることになるので、双方の側から受け入れられるだろう。今後このような中抜き型直接マーケティングは勢いをどんどんまして行くだろう。
さて、これまでAmazonの動向をずっと追いかけてきた筆者でも一瞬混乱したくらいなので、読者の中にはこの Kindle for the Web が一体これまでのキンドルアプリとどう違うのかについてよく分からない方も多いと思うので補足したい。
キンドルというのはご存知の通りアマゾンの電子ブック端末のことで、電子書籍専門のストア「キンドルストア」を運営している。本を売ることを生業としているアマゾンはこの画期的な端末で本を販売するのみならず、この端末以外のプラットフォームにも本を売ることができるように、端末別の対応アプリを提供してきていた。利用しているアプリや端末を問わず、自分のIDを使ってキンドルストアで購入したコンテンツは全て共有できるようになっているので大変便利だ。またキンドルストアは購入履歴を記録するので、一度購入したものは二度と購入する必要がなくダウンロードすることができる。
これまでにリリースされてきたアプリの一覧(順不同)
Kindle for iPhone/iPod Touch
Kindle for PC
Kindle for iPad
(*アマゾンは27日にはブラックベリー系の新しいタブレット端末Playbook向けのアプリもリリースした)
Kindle for Android
Kindle for Mac
Kindle for Blackberry
このリリースによるとキンドルストアの蔵書はすでに70万タイトルに上り、そのうち57万5千冊は10ドル未満で販売されている。またNYタイムズのベストセラー111冊中108冊を網羅している。これ以外にも180万冊のパブリックドメインのコンテンツがあるので、総合の蔵書数は250万冊にも及ぶことになる。
独自の端末をもちつつ、それ以外のユーザーもターゲットにするハード別の囲い込み戦略を実践してきたきたアマゾンは、上記のアプリ群でほぼ全てのハードを対象に捉えてきた。そして、ついにブラウザベースで稼働するアプリを投入してきたのだ。これでもちろんApple TVの対応も視野に入るようになってきた。一件これまでの戦略と矛盾しているかに思える今回のアプリ(!?)だが、クラウド化という点では今回のブラウザ対応が最終形態であるかと思える。サファリブラウザーやiOSの標準化で囲い込みを図るアップルの戦略によく似ていることを感じる方も多いに違いない。これまで Kindle for PCやMacを使っていたユーザーは必然こちらのブラウザ型に移動するであろう。(オフラインではもちろん使えないのでその場合はこれまで通りアプリを使うこととなる)
つまりこれによりアマゾンはハードとソフト、オンとオフ、独自端末と他社端末というある意味垂直統合のグランドスラムを達成したようなものだ。アップルといういわばライバルが身近にいながら、ここまでの陣形を組み上げたというのはアッパレという他ない。これでアマゾンは名実共に「クラウド書店」の名を欲しいままにするだろう。ちなみにKindleは今や第三世代で価格もかなり安く(Wi-Fi版は139ドルと破格)なり同業他社製品の追随を許していない状態、アプリもほぼ全ての他端末を網羅するようになってきた。アマゾンの勢いは止まらない。
27 9月 2010
恥ずかしながら先日の日本出張で本イベントのことを初めて知った。筆者も幼少の頃より、大好きだった祖父に将棋を教えてもらって以来、将棋は「下手の横好き」で指し続けている。(といっても、さすがに最近はチャンスがめっきり減ったのが残念だ)
女流棋士のトップクラスがコンピュータと対極をする。しかも今回は4台のマシン(プログラム)での合議制だという。
日本将棋連盟側の告知文
対する情報処理学会側の告知文
イベントの詳細はコチラの産経の記事に詳しい。
将棋では人間がコンピュータに負けるのは後50年はかかるだろうと以前言ったのは羽生名人だったと思ったが、今回ばかりはかなり手ごわそうだ。
興味的なのはコンピュータがいよいよ技術の向上のために独自の機械学習が取り込まれていること。これは例えばグーグルの検索精度が高くなったり、機械翻訳の精度が高まるのと同じような仕組みとのこと。筆者が個人的に興味をもっている「差分解析」の部分とも大いに通じる部分があると感じている。
つまり、この対局は単なる将棋の対局ではなく、AIがどこまで人間の頭脳に迫れるかという点でインターネットの進化とも大きく関連しているといえるのだ。つまり将棋ファンのみならずとも目が離せない対局だ。これは前回渡辺明竜王に挑戦したボナンザから取り入れられたものだという。
形勢判断では、駒の損得や配置などを数値化した多くの指標(パラメーター)を設定し、多次元関数をつくる。従来は、棋力の高い人間がつくった評価関数をコンピューターに教え込む手法が一般的だったが、棋力の低い保木さんは評価関数づくりを機械まかせにした。膨大なプロの棋譜から優勢に導く条件をコンピューターに学習させ、評価関数を進化させたのだ。
これに加えて、「悪手」を防ぐための「合議制」の採用、つまり多数決させるということ。これは万全の布石のようだ。情報処理学会(コンピュータ側)では勝率は95%と言っているそうだからすごい自信だ。
両対局者のプロフィール
<対局者プロフィール>
●清水市代(しみずいちよ) 女流王将
* 生年月日 昭和44年1月9日(41歳) 東京都東村山市出身
* 昭和58年 高柳敏夫名誉九段門下で女流育成会入会
* 昭和60年4月 女流プロ2級 女流棋士となる
* 昭和63年2月 第14期「女流名人位戦」で初タイトル獲得
* 平成7年1月 女流初の三冠(女流名人・女流王将・倉敷藤花)
* 平成8年7月 女流初の四冠(女流名人・女流王将・女流王位・倉敷藤花)
* 平成12年10月 女流六段(女流棋界初)
* 平成19年6月 第29期「女流王将戦」で千葉に挑戦し、3-1で奪取
* タイトル戦登場は60回、獲得は女流名人位10、女流王将9、女流王位14、倉敷藤花10(連続7期)の合計43期(歴代1位)●あから2010
* 情報処理学会の「トッププロ棋士に勝つ将棋プロジェクト」特製システム
* 阿伽羅(あから)は10の224乗という数を表し、将棋の局面の数がこの数に近いことに因んで命名された
* ハードウエア部
-東京大学クラスターマシン:
-Intel Xeon 2.80GHz, 4 cores 109台
-Intel Xeon 2.40GHz, 4 cores 60台
合計 169台 676 cores
-バックアップマシン:4プログラムそれぞれについて1台ずつ
-CPU: Xeon W3680 3.33GHz 6cores
-Memory: 24GB (DDR3 UMB ECC 4GBx6)
* ソフトウエア部
-構成:国内トップ4プログラムによる多数決合議法(4つのプレイヤープログラムに局面を渡し、指し手を受け取り、もっとも多い手を指し手として返す)
-合議マネージャ: 開発:電気通信大学伊藤研究室&保木邦仁
-プレイヤー1:「激指」開発:激指開発チーム(鶴岡慶雅、横山大作)
-プレイヤー2:「GPS将棋」開発:チームGPS(田中哲朗、金子知適ほか)
-プレイヤー3:「Bonanza」開発:保木邦仁
-プレイヤー4:「YSS」開発:山下宏
果たして歴史は作られるのか、大いに注目したい。
26 9月 2010
昨日LAから始まる全米ツアーを開始したX Japanの熱狂をABCが取り上げたようだ。
ツアーは10月10日のNY公演まで続く。
公演に先駆けてYOSHIKIがファンに送った↓のビデオメッセージはちょっとした言葉遊び(!?)のせいもあって1週間で45000Viewをたたき出しているのはさすが。
イベントの詳細は現在電子版として大リニューアル中の雑誌POPJNEOのレポートにて!
しかし、これでまんまとYOSHIKITTYもメジャーデビューできたようで、何よりだ(笑)
26 9月 2010
週末少しゆっくり家族と時間を過ごしながら風邪の療養をしていたので、体調が少し戻りつつある。
日曜日の夜だけに、いつものように新しい週を迎える準備をしていたら。。。目の前にすごいネーミングの記事が飛び込んできた。
その名も「ガラパゴス」 シャープの電子書籍端末、12月に発売 (ITメディア)
独自機種を開発していたのは勿論知っていた、しかしそれにしても何ともすごいタイトルだ。スゴすぎる。ここまで自虐ネタを貫き通すなんて立派なものである。さすが、大阪、さすが我が地元(通学路の辺りだ)。「目のつけどころがシャープでしょ」?と言わんばかりのトンデモナイ意気込みが垣間見える。
正直筆者は昨年からシャープには大きな期待を寄せていた。それは手元にある膨大なプレゼン資料の中のあちこちに垣間見えることだ。なんてったって、天下にその名を轟かした「ツインファミコン」なんて筐体を創りだしたメーカーである。(これにはもともとファミコンという登録商標をシャープが先に抑えていたという経緯が関係しているらしい)

公式サイトはコチラ
しかもコメントが奮っている。
「世界のデファクト技術をベースに、日本ならではのきめ細かなノウハウと高いテクノロジーを融合させ、世界で通用するモノの象徴としての意味を込めた」としている。
ガラパゴス諸島という孤立した環境のせいで生物が独特の進化を遂げたという、いわゆるダーウィンの進化論と関連づけられているようで、まったく無理やりな理屈に聞こえてしまうこのフレーズの意図は何か。。。そうだ、「象徴」だ。そこに何か別の意図があるに違いない、だってガラパゴスで独自進化したのは「適者生存」に基づくというのが前提で、かつ大型な天敵種がいなかったためとか、そういう大きなポイントを天下のシャープが知らずにネーミングする訳がない。
つまり、「海外進出を果たすに足る実力を持っているが、外には決して出ない」そういう意味でのネーミングなのだろう。そうに違いない、だって、ただでさえガラパゴスでは特殊な保護がないと絶滅の危機に瀕している種が多いのに、外に持ち出したらすぐに死んでしまいそうだ。外的なんてとんでもない。
しかし、次のコメントには。。。
ガラパゴスは、同社が開発した電子書籍フォーマット「次世代XMDF」を核とした事業ブランド。端末からオーサリングシステム、配信システムまで提供する計画で、海外展開も視野に入れている。
なんと、やはり海外進出を目論んでいるのか。。。そうだとしたら何とも不吉なネーミングだと思うんだけども。海外の人はこれ見てどう思うんだろうか。そもそも日本では普通の携帯のことを「ガラケー」とか言ってるみたいだけど、日本の外では日本がガラパゴスだという認識を持っている人はまだまだ少ないんじゃないか。みんなトカゲとかイグアナのイメージしかもたないような、と書きかけてふと思った。そうだ、シャープにはもう一頭、とうに絶滅した旧世代の生き物「ザウルス」がいたか。社風なんだ、これ。あっぱれシャープ!
公式サイトの製品説明スライド抜粋 (クリックで拡大) ダーウィン先生が登場します。

(この理屈をこじつけと思われるかどうかは読者の皆さんの判断に委ねたいと思います)
それでも意力ブログは気概をもって世界に果敢に挑戦する国産電子ブックリーダーを応援します!(シャープさん、同郷のよしみで、レビューするのでサンプルください 笑)
25 9月 2010
「理解しています」霜田もつられてやけに神妙に頷いた。霜田はITにはまったくうとかったが、ウィキペディアというものがネットの世界で有名で自分の権威付けにつながるというように理解していた。何より、自身が勝ち取った「ミスターすし」という称号を他の者に奪われるのはよしとできなかった。
商標と同じように、ウィキの世界で我こそは、と先に名乗りを上げるつもりであった。すでに著書も出し、数々の功績を上げてきた霜田には何故かまだウィキペディアの項目がなかったのだ。
「もちろん、登録されてすぐに削除される、いわゆる即時削除というやつの対象になった場合は半額を返金させて頂きます。まずはそうならないように、内容を組み立てるのが私の最初の仕事になります」
柳田の頭の中は、これから始まる戦いについて、考えを張り巡らせていた。霜田の経歴は立派なものだ。著作もある。恐らくは大丈夫だろう。しかし安心はできない。何せ敵はてごわい、いわばウィキのプロ集団だ。正直柳田の気は少し重かったが、目先の金も大事だった。もうすぐ長女の誕生日が近づいていたのだ。ひもじい思いをさせたくはなかった。子供達にも、愛する妻にも。ブロガーや作家として食べていく夢は捨てないが、まだそれは遠い目標だった。しかし、自分の執筆力と経験で対価を得られること自体は自身の夢に一歩ずつ近づいている、そういう気がしていた。それだけが柳田の後ろめたさを打ち消し、前進することの後押しをしていたとも言える。
(ウィキ事始め へ続く)
24 9月 2010
今回のクライアントは霜田という男だった。彼と会うのは二度目だったが、初老というには白髪が多い、そんな感じの印象を受ける。彼はロサンゼルスの食品メーカーに勤めながら、寿司をつくる機械を全米に売りまくった男で、日系コミュニティの人たちは彼のことをミスター寿司と呼んだ。
「これがご依頼のあった資料です。私の職歴から実績、できるだけ詳しく書いておきました。」書類を手渡しながら霜田は言った。
「ありがとうございます。拝見します。」霜田よりも、ふた回り以上若い柳田礼人は書類を受けとって、さっと目を通した。書類は十分なように見えた。
「内容の方はこれで十分だと思います。あと、画像の方はどうですか?お願いしましたよね?」柳田は確認した。
「はい。こちらに何枚か入れておきました。」小さなフラッシュドライブを預かった柳田はそれをノートパソコンに差し込んで、データをコピーした。
「確かに。5枚ありますが、こちらで選別させていただいてよろしいですね?」
「もちろんです、先生」霜田は恐縮するように言った。現地の日系コミュニティで、彼ほど有名な人物はいないと言うのに、霜田はまだ二回しか会ったことのない、年下の柳田に対して、かなり低姿勢だった。それはまさにこの相談ごとの特殊性を示していた。霜田は柳田にウィキペディアで自分の項目を作成しもらうように依頼していたのである。
ウィキペディアとはアメリカのウィキペメディア財団 (Wikimedia Foundation)によって運営されている、いわばインターネット上の百科事典である。財団は非営利団体であり、運営に必要な資金は寄付によって、膨大なコンテンツの執筆と管理はボランティアにより賄われている。ウィキペディアには数多くの言語が存在しており、日本語には65万項目が存在していた。ウィキペディアのことを短縮して、「ウィキ」と呼ぶ者もいる。ネットを日常的に利用する者でこの「ウィキ」という言葉を知らない者も、利用したことが無い者も少ないだろう。(*筆者注:しかしウィキペディアを「ウィキ」と呼ぶことは大きな物議をかもすことがあるのでご注意頂きたい。これはWikipediaの語源に関連するWikiwiki Webなどとの関係での誤解を避けるもの。これについてはウィキペディアンの方々から熱心なご指導を頂いたので、後ほど本文の中でも取り上げていきたいと思う)
柳田は、ふとしたことからこのウィキペディアの編集作業に加わることになった。過去にも何度か携わったことはあったが、本格的には昨年の11月頃に、いつもお世話になっている知人のページを修正したことがきっかけだった。ウィキペディアの世界は本当に奥が深く、そこにはさまざまな人間模様が交錯していた。まず、ウィキペディアは原則として誰でも編纂作業に関わることができるが、「本格的に」といった場合には匿名ではなく、固定のIDでの作業を続けることになる。これはハンドルとも呼ばれる。ウィキペディアでは誰でも内容をいじれるようになっているが、そこには数多くのルールがあり、実は素人が簡単に首を突っ込める世界ではない。ルールを守らないものには、死を、簡単に言うとそんな厳しいイメージを柳田はウィキペディアに対してもっていた。厳密に言うと、日本のウィキペディアに対してである。
「かしこまりました。ではお支払いの方は?」既にウィキの深い世界に頭を突っ込んでいた柳田はもとの世界に戻ってこようとするように、そう言った。
「はい、先生。こちらです」霜田は封筒を差し出した。中には何枚かの百ドル札が入っていた。中身を確認した柳田はさりげなくその封筒を自分の鞄にしのばせた。
「お伝えした通り、最善は尽くしますが、結果がどうなるかについて、私は一切責任を負いません。というか、誰も負えないんです。それが。。。」
柳田はもったいつけるように、少し間をあけてから神妙に言葉を継いだ。
「ウィキペディアの世界です」 (続く)
24 9月 2010
先日からお伝えしているAbout.meのサービスだが、その意図するところが分かりやすく視覚化されている一枚の画像を紹介したい。
これはオンラインマーケティングを生業としているには欠かせないDW230という検索ツールでの検索結果である。一つのキーワードに対して、Google、Yahoo、Bingと三つの異なるブラウザーでの検索結果を表示してくれる。
About.meで検索すると、Google先生ではどうやらこの意力ブログのエントリーが本家のサイトを除いては一位になっているようだ。だが、ここで注目すべきはYahoo Japan(真ん中の列)の検索結果だ。
ご覧頂いて分かる通り、About.meに登録されているプロフィールがずらりと表示されている。これを見て何の違和感を感じ無い方ももしかしたら多いかも知れないが、これは検索エンジンの結果としては実は極めて稀なことである。というのも通常はそれ以外の記事が何らかの形で顔を出すからだ、ここまで一つのドメインの検査結果が表示される状態というのを筆者は見た記憶がない。試しにNingでやってみたが、やはり検索結果はバラバラだった。
これはある意味検索エンジンの乗っ取りであり、(もちろん日本語でのニュースがまだまだ少ないというのもあるのだろうが)、About.meがもしかしたら統合型のプロフィールサービスとしては最大手になるかも知れないことを予感させる一コマだった。グーグルは自前のGoogle Profileというサービスがある以上、こういう結果にはさせないと思うのだが、凄腕のエンジェル達が後押しするこのサービスだけに今後の動きが気になるところだ。
まだ登録されていない方は登録されたらいかがか。